「重要な情報が中国当局によって隠蔽されている」

 中国の習国家主席は昨年8月の電話会談でキア・スターマー英首相に問題を提起、大使館移設計画は外交問題に発展した。建設予定地は2つの金融街を結ぶ地下の光ファイバーケーブルに近い上、反体制派や一般市民をスパイするために利用されるとの懸念が持ち上がった。

中国大使館移設計画を巡ってロンドンでは大規模な反対デモも起こっている=2025年9月撮影(写真:AP/アフロ)

 英中黄金時代から対中強硬路線に転向した英野党・保守党は「大使館がスパイ拠点として利用されることは明らか。重要な情報が中国当局によって隠蔽されている。英国の国家安全保障が脅かされており、労働党政権は現実から目を背けている」と批判している。

 前出のCICは、176の配送センターを展開する物流会社Logicorの6割を持ち、過去数年間で2億5680万ポンド(約522億円)の配当を受け取っている。中国人民銀行はロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄の株式を計119億ポンド(約2兆4200億円)以上保有している。

 石油大手シェル21億ポンドとBPは9億100万ポンド、鉱業会社リオ・テブリティッシュ・スチールィント4億8400万ポンド、製薬大手アストラゼネカ11億ポンドが含まれている。このほか香港の政府系ファンドが15億ポンド、中国の2つの国有年金基金が計3億8100万ポンドの株式を保有している。