そのような状況を打破するためにも、公明党は自民党とは違ってクリーンで、平和志向で、リベラルだという姿を強調せざるをえない。高市に対する今回の厳しい姿勢は、そのためである。
自民党は、15日の国会召集を予定していたが、自公連立協議の遅れにより、21日召集を目指さざるをえなくなっている。27日にはトランプ大統領が来日したり、その前後にASEAN関連首脳会議やAPEC首脳会議も予定されたりしており、外交日程もタイトである。
連立拡大の難しさ
石破政権は、衆参両院とも少数与党となり、政権運営に行き詰まり、退陣の余儀なきに至った。高市が首相になれば、同じ問題に直面する。そこで、国民民主党など他の野党を招いて、連立政権の拡大を図ろうとするのは当然である。
過半数を制しているのは野党なので、野党が一致すれば政権交代となる。公明党が連立から離脱するならば、その可能性は高まる。斉藤も、連立が継続できなければ、高市を首班に指名することはないと明言している。
現在の衆議院(定数465)の会派構成は、自民196、立民148、維新35、国民27、公明24、れ新9、共産8、有志7、参政3、こども2、無所属6である。
今の自公政権に、立民や維新や国民が加われば、安定した過半数となる。しかし、ハードルは高い。
労働組合の連合は、立民や国民が自公政権に加わることに反対である。この両党が選挙の際に支援を仰ぐのは連合であり、連合の意向を無視するわけにはいかない。
また、選挙区事情を考えれば、公明党と維新は犬猿の仲である。昨年10月の衆院選では、大阪4選挙区で公明は維新に全敗した。自民党も15人が敗退した。自公政権に維新が加わるのは、大阪の選挙区事情を考慮すれば容易ではなかろう。
以上のように考えると、高市にとっては、自公連立を基礎にして政権基盤を拡大するしかない。つまり、高市内閣の発足までに連立の拡大、あるいは連立の組み替えは不可能に近いと言ってよい。
しかも、公明党が連立を離脱するようなことになれば、前述したように、首相に就任することすら難しくなる。高市は大きな難題に直面している。