公明党の斉藤代表との会談を終え、記者団の取材に応じる自民党の高市総裁=10日、東京・永田町の党本部(写真:共同通信社)
(尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員)
首相になれるか、崖っぷちの高市総裁
自民党の新総裁に高市早苗氏が選ばれてからわずか1週間足らず。公明党は10日、自民党との連立政権からの離脱を決めた。公明党の斉藤鉄夫代表は、自民党との政党単位での選挙協力を行わないことまで早々に明言しており、離脱への意気込みは相当なものだ。
「フルスペックの総裁選」という長い政治空白を作ってまでトップの首をすげ替え、連立の枠組みを拡大して安定政権を作ろうとした自民党のもくろみは、逆に連立相手の公明党を失い、自民党が孤立するという真逆の結果を生んでしまった。高市氏は就任早々、「果たして首相になれるのか」という崖っぷちに追い込まれている。
それにしても、昨年秋の衆院選で石井啓一前代表が落選するほどの大敗を喫し、少数与党に転じた時も、夏の参院選で再び大敗して衆参で少数与党となった時も、石破茂首相が党内抗争に敗れ退陣を表明した時も、連立離脱に向けた直接の動きを見せなかった公明党が、なぜこのタイミングで離脱を表明したのか。
落ち着いて考えると、そもそもの発端は、自民党が「総裁選を行ったこと」自体にあるのではないか、と思えてならない。二つ指摘したい。