公明党幹部との会談後、自民党本部で記者団の取材に応じる高市早苗総裁。右は鈴木俊一幹事長=10月7日午後、東京・永田町(写真:共同通信社)
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 自民党総裁に選ばれた高市早苗は、党役員人事を行い、新政権の発足の準備に怠りない。総裁選での高市当選に大きく貢献した麻生派への論功行賞の色彩が強く、反主流派となった集団は干されている。また、裏金問題で批判された萩生田光一を幹事長代行に起用したことも、国民の納得を得ることはできまい。

 そのような中で、連立政権の組み方について、様々な思惑が交錯している。

想定外の「連立離脱カード」切り

 まず自民党と公明党との連立協議が進まなかった。

 公明党の政策を単純化して言えば、内政では「弱者の味方」をスローガンにLGBTなどに対する差別に反対し、夫婦別姓にも賛成である。

 外交では「平和の党」として、リベラル色を打ち出している。歴史認識をはじめ、中国との関係を重視し、首相など公人の靖国神社参拝には反対である。

 また、外国人との共生を重視し、外国人排斥には異を唱える。さらに、「クリーンな政治」を目指して、政治とカネをめぐる不祥事には厳しく対応する。企業・団体献金には厳しい規制を設ける。

 以上のような立場が、高市の政治信条や政策とは相容れないことは明白である。

 10月7日に、公明党の斉藤鉄夫代表と高市との党首会談が行われ、連立政権を継続するか否かを含めて議論が交わされた。しかし、両者の見解の相違は完全には埋まらず、協議を継続することになった。

会談に臨む公明党の斉藤鉄夫代表(左)と自民党の高市早苗総裁=10月7日午後、国会(写真:共同通信社)

 斉藤によると、「歴史認識、靖国問題、過度な外国人排斥の問題については、高市新総裁から詳細な説明があり、我々と認識を共有できたところもたくさんありました」という。しかし、政治とカネをめぐる問題については、意見が一致せず、連立を継続するかどうかの結論は出なかった。

 連立離脱カードもちらつかせて自民党を牽制した斉藤だったが、10日に再び高市と会談。そこでも「政治とカネの問題で十分な回答がなかった」として、ついに「連立離脱」のカードを切ることとなった。これにより、長きにわたって与党を形成してきた自公連立は解消されることになった。