ハチキンの暢
ハチキンとは、「男勝りの女性」を指す土佐弁であるが、暢はまさに明るく元気なハチキンだった。
小学校では担任の先生の腕にぶら下がって歌い、女学校でも学校の舞台に立って一人で歌ったり、ピアノを弾いたりしたという(越尾正子『やなせたかし先生のしっぽ~やなせ夫妻のとっておき話~』)。
また、ドラマの朝田のぶと同じく俊足で、女学校では「韋駄天おのぶ」と呼ばれた短距離ランナーでもあった。
音楽やスポーツに秀でた、魅力的な少女だったのだろう。暢には兄の穣(じょう)と、瑛(えい)と圀(あき)という二人の妹がいるが、下の妹の圀が「宝塚音楽学校に入りたい」と言ったとき、「暢の方が向いている」と周囲の人が勧めたという(高知新聞社『やなせたかし はじまりの物語 最愛の妻 暢さんとの歩み』)。