スナックと居酒屋で飲酒した後にハンドルを

 事故は、2024年3月21日、午前1時20分頃、富山市総曲輪一丁目の交差点で発生しました。

 この夜、山﨑満大容疑者(当時42)は、現場近くのスナックと居酒屋をはしごし、基準値以上のアルコールを摂取していました。にもかかわらず、自らハンドルを握り、フロントガラスの雪を払おうともせず、車で発進。そして、コインパーキングから出庫する際、一方通行を無視して左折、続けざまに目の前の交差点を左折しようとしたところ、青信号で横断歩道を渡っていたピアノ講師の井野真寿美さん(62)をはねたのです。

 下の写真を見てもわかる通り、パーキングの出口には逆走への注意を促すため、大きな文字で『左折禁止』とペイントされていました。

加害者が車を停めていたコインパーキングの出口。目の前の道は一方通行のため「左折禁止」と大書されているが、加害者は左折・逆走して事故を起こした(筆者撮影)
事故現場となった富山市内の横断歩道。夜でも明るく、見通しもよい(筆者撮影)

 そして、1年3カ月経った今年6月23日、遺族は弁護士と共に富山地検へ出向いて検察官と面談し、『本件は過失などではなく、より罪の重い危険運転致死罪で起訴すべきだ』という趣旨の意見書と、遺族らの嘆願書、これまでに集めた署名(5万2074筆)を提出したのです。