被害者の井野真寿美さん(左)と長女のすみれさん。姉妹のように仲がよかったという(遺族提供)

フロントガラスが雪で覆われたまま発進

「今回のキーワードは、『盲目運転』です」

 6月23日、富山市内で行われた交通事故遺族による記者会見は、この一言から始まりました。被害者支援代理人をつとめる高橋正人弁護士がそのとき示したのは、以下の写真でした。

事故当時の車の状況を遺族が同型車で再現実験した際の写真。加害者はこのような状況で除雪しないまま発進した(遺族提供)
車内から見た前方視界の状況(遺族提供)

「これは昨年12月、検察官からの説明に基づいて、加害者がどういう状況で運転したかを実験したものです。ちょうど我々が富山の事故現場を訪れたとき雪が降っていたので、フロントガラスに雪を積もらせ、事故当時の状況を再現しました。実際はもうちょっと薄い感じだったようですが、下半分は雪で覆われていました。加害者はまさにこうした状態で運転を始めたのです」

 車を運転する人なら、前方の視界が確保できない車を動かすことの恐ろしさをご存じでしょう。実験時の写真とはいえ、その様子を見ると、今回、あえて「盲目運転」という言葉が使われた理由がよくわかります。