見過ごされてきた意外な訪花昆虫

 スズメガは蛾の仲間で高速に飛び回りながら花を訪れる。夜行性の種が多いが、昼行性のものではオオスカシバやホウジャクなどが有名で、ホバリングしながら花の蜜を吸う姿をよく見かける(冒頭写真)。

 幼虫は大きく、お尻にピコピコと動くツノがある。アサガオを育てているとお尻にツノのある大きなイモムシが出現するが、あれはエビガラスズメの幼虫である。

ホシホウジャクの幼虫はヘクソカズラを食べる。都内でも普通に見られる(2022年6月、上野にて著者撮影)

 ニガウリの花を訪れた昆虫のリストの中ではスズメガはかなり少なかったが、私はどうも気になるので調べたほうがよいと思った。

 頭をよぎったのは同じウリ科の野草のカラスウリである。カラスウリの花は夜に咲いて夜行性のスズメガが訪れることがよく知られている。

カラスウリの雄花(2022年、上野にて著者撮影)

 いかにも夜の花といった感じで、私も昔観察してスズメガが訪花しているのを見たことがある。それに、カボチャの訪花昆虫を調べたときにも、他の昆虫に混じってスズメガが花粉を運んでいることが分かっていた(Kamo et al. 2022)。

 そこで、スズメガがニガウリの花粉をどの程度運んでいるかを確かめることにした。