男子400mハードルで攻めのレースを披露した豊田兼

 男子もハードル種目が非常に熱い。110mでは泉谷駿介(住友電工)と村竹ラシッド(JAL)が東京世界陸上の「メダル」を狙っているが、400mでは「ファイナル」を見つめている選手がいる。慶大を卒業して、今春から社会人になった豊田兼(トヨタ自動車)だ。

 今大会は2022年のオレゴン世界陸上で銅メダルを獲得しているトレバー・バシット(米国)を相手に攻め込んだ。前半でリードを奪うと、最終10台目のハードルを真っ先に跳び越える。しかし、終盤に逆転を許して、48秒55の2位でレースを終えた。優勝したパシットは48秒50。日本勢は小川大輝(東洋大)が48秒98で3位、東京世界陸上の参加標準記録を突破している井之上駿太(富士通)が49秒38で6位だった。

 47秒99(日本歴代3位)の自己ベストを持つ豊田は、「せめて2番だとしても、参加標準記録(48秒50)の突破を目標にしていたので、そこは本当に悔しいです」と唇を噛んだ。そして、こうレースを振り返った。

「スタートから5台目ぐらいまでは47秒台ペースで行けていたんですけど、後半で少しもたついてしまい、最後に刺されたかたちです。7台目ぐらいまではスムーズでしたが、(13歩から)15歩に切り替える8台目がちょっと届かない感じで、減速した跳び方をしてしまった。そこがうまくいかなかった部分です」

 5月下旬のアジア選手権は「腰背部の違和感」が生じたために欠場するが、狙い通りのレースができれば日本記録(47秒89)の更新は期待十分。東京世界陸上では為末大が銅メダルを獲得した2005年以来の“ファイナル進出”を目指していく。