2025年5月18日、セイコーゴールデングランプリ、 女子やり投げ決勝での北口榛花 写真/アフロ

(スポーツライター:酒井 政人)

女子やり投げは北口榛花が貫録勝ち

 世界陸連が主催する「ワールドコンチネンタルツアー」の最高位である「ゴールド」の大会となるセイコーゴールデングランプリが5月18日に東京・国立競技場で行われた。

 国内では出場機会が少なくなっている日本の有力選手も参戦。フィールド種目では女子やり投げの北口榛花(JAL)がファンの期待に応えた。

 一昨年のブダペスト世界陸上、昨年のパリ五輪で金メダルを獲得している北口。今季初戦となったダイヤモンドリーグ上海・柯橋大会(5月3日)は60m88で4位に終わるなど、「まっすぐ飛ばない」という課題を抱えていた。しかし、1回目に61m41をマークして、すぐさま観衆のハートをキャッチする。

 そして観客に手拍子を求めた5回目。60mラインを大きく越えるビッグアーチが飛び出した。記録は今季世界6位となる64m16。スタジアムがどよめき、北口の笑顔が弾けた。

 6回目も61m37の好記録を残して、6本中3本が60mオーバーという安定した投てきを披露。チェコを拠点に練習をしている金メダリストが日本のファンに強烈な印象を残した。

「間違いなく投げられるエネルギーは持っている」という北口。それが「やりに伝わらないもどかしさ」を感じていたが、「試合のなかで修正していく、自分らしさみたいなところは出せたかな」と試技を振り返った。

「1本目で61mを凄いかたちで投げられたので、もうちょっと記録的には狙えるかなと思ったんですけど、競技場ごとに異なるタイミングをつかむのにちょっと時間がかかってしまいました。5回目もまだまだピタッと来たというか、完璧なかたちではないなかで64m飛んだのは自信になったと思います」

 本人は「自分が王者という感じはない」と言うが、東京世界陸上ではファンの期待はすこぶる高い。

「他の選手が遠くに投げているので、今後の連戦でパワーとテクニックの両方を少しずつ上げていきたい。まだ4ヶ月あるので、できることはたくさんあると思いますし、皆さんと同じうれしい気持ちで東京世界陸上を迎えられるようにしたいです」