すでに市販されているフォックストロン製「モデルC」のメリデメ

 バス、デリバリーバンなどの商用車を除いたコンシューマー向け乗用モデルとしてここまでフォックストロンが公開しているのは、以下の4モデル。

① モデルE
全長5.1mのEセグメントラグジュアリーセダン。2021年公開のプロトタイプは電動AWD(4輪駆動)で総出力は550kW(748ps)
② モデルC
全長4.6mの7人乗りクロスオーバー。2021年、モデルEと同時に公開されたプロトタイプは電動AWDで0─100km/h加速3.8秒を謳っていた
③ モデルB
2022年にプロトタイプが初公開された。全長4.3mのコンパクトクロスオーバーで、低価格レンジ向けの商品となる。
④ モデルD
2024年に公開された全長5.1m、ホイールベース3.2m、スライドドア装備のラージクラスミニバン。超急速充電を受け入れる電圧800Vアーキテクチャを採用

 三菱自動車に供給されるのは③のモデルBとみられるが、現時点で市販開始にこぎつけているのは②のモデルC。提携先である裕隆汽車のサブブランド、Luxgenから「n7」の車名で2024年初頭にデリバリーが開始された。

2024年に台湾で発売された「n7(モデルC)」(写真:AP/アフロ)

 n7の販売は今のところ台湾の国内のみで行われているため、一般ユーザーが日本でドライブする機会はない。だが、発売から1年余りが過ぎ、現地では長期テストを含めてインプレッションが出そろいつつある。それらの概要をまとめてみよう。

●走行性能、動力性能は4.6m級クロスオーバーとしては標準的なレベルをクリアしている。重量は2輪駆動の長距離版で2.2トンとやや過大
●100%充電時のオンロードでの航続力は大容量バッテリー版で500km程度と、先進国メーカーの同格モデルに匹敵。充電速度も十分
●OTA(Over the Air=クルマのファームウェアのオンラインアップデート)機能を標準で備え、更新頻度も多い
●内外装の装飾性は高いが仕上げはトップランナーモデルに対して劣っている。とくに指摘が多かったのはインテリアの樹脂マテリアルの質感で、隙間も大きめ
●価格はインフレの影響を受けて上昇中で、スターティングプライスは120万台湾ドル(582万円/1台湾ドル=4.85円換算)。台湾における大衆価格の目安となる100万台湾ドル(同485万円)以内のモデルではなくなった。トップグレードは150万台湾ドル(同727万円)