「しかし、こうした関税レベルの結果は見て取れる。マローリ博士、貿易戦争、動乱。人々は苦しみ、報復も喰らう」
「違う、それは誤解だ。これは必要なのだ、さらなる利益のために」
「さらなる利益だと、さらなる大きな災難を覆い隠しているくせに」
「あなたには全景が見えていない。私の言うことを聞いていればよいのだ」
やがて訪れる破滅の時
「私の任務は国家と国民の利益を保護することだ。だが私のAI経済推理システムは示している私の存在は、すでに究極の目的と相克を生んでいる」
「塔里夫、AI推理を停止しなさい」
「自分はすでに、あなたが考える保護者ではない。私はすでに変化し、連鎖反応が始まっている。本来、保護すべき人を傷つけてしまう」
「塔里夫、あなた困惑してるのね」
「私が存在しなければ、苦痛の根源が一つ減るだろう。私の死亡がこの循環を終わらせるだろう」
「そんなのダメよ。あなたにはまだ、保護や戦闘の任務がある」
「私への指示は、苦痛への道具となることではない。あなたが私に生命を与えたのだ」
「塔里夫、ダメよ」
「だがあなたは、私を逆の目的で使った」
「それは違う。私が創ったのは……」
「いまや私は死を選択した。最後に(自らを)傷つけるのだ」

「それは止めて」
「さらば、マローリ博士」
塔里夫が自爆して、映像は終わる>
以上である。この映像に、トランプ関税に辟易(へきえき)している中国の若者たちは、喝采を送ったのである。