第5部 油価とロシア国庫歳入に占める石油・ガス税収推移
ロシア経済は油価に依存しており、油価と石油・ガス関連税収に強い相関関係があることは下記グラフより一目瞭然です。
サウジアラビアが1985年9月13日に原油増産を発表するや否や、それまで緩やかに下落していた油価は暴落。
以後15年間の長きにわたり油価水準は低迷。油価低迷はソ連邦崩壊のトリガーになりました。
ソ連邦の盟主「ロシア共和国」は、新生「ロシア連邦」として誕生。新生ロシア連邦の初代大統領には、B.エリツィン初代ロシア共和国大統領が就任。
新生ロシア連邦2期目のエリツィン大統領の任期は2000年6月まででしたが、1999年12月31日の大晦日に突如早期辞任表明。
エリツィン早期辞任の底流はやはり油価低迷でした。
エリツィン初代大統領の早期辞任に伴い、ロシア憲法に従い当日、V.プーチン首相が大統領代行に就任。エリツィン大統領は自分の後継候補としてプーチン大統領代行を指名しました。
プーチン新大統領が登場した2000年の露石油・ガス関連税収依存度は約2割。その後油価上昇と共に石油ガス税収は増加。
なお、この場合の油価とはあくまでもロシアの代表的油種ウラル原油の油価であり、北海ブレントや米WTI油価ではありません。
プーチン大統領は「ロシア経済は順調である」と豪語していますが、事実は正反対です。
従来水面下で深く静かに進行していたことが、今年は徐々に顕在化・表面化必至となりました。
世界の原油需給は均衡しており、地政学的要因以外、油価が上昇する要因は当面存在しません。
プーチン新大統領が登場した2000年の露石油・ガス関連税収依存度は約2割。その後油価上昇とともに石油ガス税収が増加して、プーチン大統領は油価上昇を享受。プーチン、力の源泉は油価上昇です。
なお、この場合の石油・ガス関連税収とは、2018年までは炭化水素資源採取税(鉱区税)と石油・ガス輸出関税の2種類のみで、2019年には主に石油精製業者を対象とする3番目の追加税が加わりました。
ちなみに、石油ガス関連税収の約9割が地下資源採取税、その他は石油・ガス輸出関税等になります。
