企業団体献金をめぐる論点
政党の財政は寄付や機関紙売上といった自主財源と、政党交付金などの公費助成に大別される。このうち、パーティー券のキックバックや企業献金は政党の自主財源に区分され、その規制と透明化が求められている。
2024年、国会に政治改革特別委員会が設けられ、今年3月31日を期限に成案をまとめるとして議論が続けられてきた。企業団体献金について浮かび上がってきたのは、立憲や維新、有志の会などの「禁止法案」、自民の「公開強化法案」、公明と国民民主の「規制強化法案」という三つの立場である。
第一の論点は、企業団体献金の容認か禁止かである。
立憲や維新はカネの力が政策の優先順位を歪めているとして、その原則廃止を求めている。他方、自民党は2023年に党本部と政党支部とをあわせて約42億円の企業献金を受けており、その存続は死活問題となっている。
国民民主や立憲には労働組合からの献金があり、これらは事実上の企業献金の性格もあり、国民民主は本音では企業団体献金の廃止に消極的であるふしもある。
第二の論点は企業献金を温存する代わりその透明化を訴えるもので、自民党は年間1000万円以上の献金をした企業の公開を唱えている。しかし、1000万円という額に特段の必然性はなく、自民党のこだわりも弱い。
そこにあって、3月下旬に公明と国民民主が提示した第三の論点が、献金の受け取り口を党本部と都道府県連に限るという規制強化案であり、文字通りにとれば企業献金の窓口は48に限られることになる。
自民党は2025年1月現在で7766の地域支部や職域支部を持っており、その数は公明党の425支部や立憲の370支部と比べて突出している。それらの支部もまた個別に献金を受領できるため、政治資金を扱う「財布」になってきた。献金の受け手を党本部と都道府県連に限る案は、献金の透明化を図る上で実効的であろう。
政治改革特別委員会は、この国会で具体的な改善策をまとめるべく、不退転の決意で議論を再開させるべきであろう。