「標準税率は上げ、食料品は0%に」という選択肢
消費税は社会保障財源として紐づいているという意見もある。しかし、2020年度当初予算に基づけば、消費税率を5%から10%への引き上げで確保される財源13.3兆円のうち社会保障支出に紐づいているのは8兆円程度であり、残りの5兆円以上は政府債務の返済に回るとされている。
したがって、この部分を使えば社会保障財政に直接影響は及ばないといえよう。
一方、消費税率を一律5%へ引き下げることでの実質GDP押し上げ効果は+1.1%となるが、失われる税収は14兆円程度が想定され、こちらは財源の面で現実的とはいい難い。
なお、諸外国においては、標準税率が平均15%を超えているにもかかわらず、食料品の軽減税率が5%以下になっていることからすれば、日本も将来的には標準税率の引き上げと軽減税率の引き下げも検討に値しよう。
ちなみに、酒類・外食を除く食料品に対する軽減税率を税率引き下げの対象とすれば、1%引き下げに際して 0.6兆円程度の財源が必要となる一方、標準税率1%引き上げで税収が 2.4兆円増えることになる。
つまり、8%の軽減税率を恒久的に非課税にするには5兆円の財源が必要となるため、あくまで筆者の考えだか、経済が過熱した段階で標準税率を12%に引き上げれば、ネットで消費税収はニュートラルとなる。
したがって、将来的に経済状況が許せば、標準税率の引き上げと軽減税率の非課税化が検討に値しよう。