平均的な年間の消費税負担額は29.8万円

 平均を例にとれば、年間の消費税負担額は約29.8万円になると計算され、可処分所得に占める割合は4.7%となる。

 また、他の公的負担と比較すると、2024年を基準とした計算では、消費税の負担額は所得税と住民税を合わせた直接税額の66.3万円や、公的年金や健康保険料などの社会保険料額の77.8万円よりは低い負担額となることがわかる。

 しかし、年収が異なれば消費税額の負担比率も異なる。

 例えば、年収1500万円以上の世帯では、年間の消費税負担額が59.0万円になると計算され、可処分所得に占める割合は3.7%にまで低下することがわかる。これに対し、年収650万~700万円の世帯では逆に5.9%程度まで上昇するように、中間層になるほど可処分所得に対する負担率が上昇することがわかる。

 なお、年収が低い世帯の消費税負担率が中間層より低くなっているのは、シニア世帯の割合が高く、非課税の医療費や軽減税率の食費の支出に占めるウェイトが高いことが推察される。

 このように、消費税は所得税や住民税とは異なり、中間層になるほど可処分所得に対する負担比率が高まる傾向がある。所得税や住民税は、所得が高くなるにつれて高い税率が課せられることから、所得の低い階層では相対的に税負担が軽減されている。

 しかし、消費税は標準税率で10%、軽減税率で8%の税率が課せられる一方、所得の低い世帯の方が高い世帯よりも可処分所得から消費に回す割合が高くならざるをえないことに加えて、中間層の税・社会保険料負担が高い傾向にある。このため、中間層ほど相対的に消費税の負担率が高まってしまうのである。