ブランドの本質を伝えるために必要な「順序」
ブランドで利益を上げていくためには、ブランドの本質を伝えて広めなければなりません。その際に注意すべきことは「伝える順序を守る」ということです。ここがとても大切なのです。
創業者が世界観を最初に伝えるべき相手は、ともに仕事をする社員です。まずは一番近くにいる社員が世界観に共感し同じ情熱を持ってその世界観を実現させるようになることが重要です。
社員に世界観を共有できたら、次に伝えるべき相手は社員から直接伝えることができる顧客です。単に表面的な情報だけでなくしっかりとブランドの本質を伝えていくことが必要だからです。
これには時間も労力もかかりますが、それをするだけの価値があります。ここが疎かになると心の絆を育てることができないからです。
最後に社会、すなわちまだ商品を使っていない人たちへと伝えていきます。顧客から周りに広がっていくことが理想です。広告で直接社会に伝えることもありますが、その際には、すでに絆を持つ顧客の存在がとても重要です。

この順序を飛び越えて、たとえば広告で一気に社会にブランドを広げようとしても、流行にはなってもブランドの力である世界観の共有による心の絆を作り出すのは難しいと思います。
ブランドの本質を伝えるためにもうひとつ必要なのは、「ストーリー」として伝えることです。(2回目に続く)*4月10日公開予定
野本 明(のもと あきら)
経営コンサルタント
1982年慶應義塾大学経済学部卒業、住友商事株式会社入社。1987年に住商オットーへ出向、1993年にはエディー・バウアー日本法人の創業メンバーとして立ち上げを主導。2000年に同社取締役商品部門長に就任。ブランド事業の拡大に伴い2004年にドイツフェイラー、2006年にはアメリカバーニーズ ニューヨークの国内事業買収時に取締役として着任し、経営を継承。2013年に住友商事を退職しロクシタンジャポン株式会社入社、経営幹部・営業本部長として営業と店舗開発を主導。2022年に独立しプロスペクト・コンサルティング代表としてコンサルティング、アドバイザー活動を実施中。法政大学・創価大学にて非常勤講師として留学生向けにマーケティング講義も行っている。
http://prospect-c.jp/