公益社団法人 ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ執行役員の田茂井憲氏

 2015年に発足し、観客動員、営業収入が右肩上がりに成長しているジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(以下、Bリーグ)。躍進を支える大きな力となっているのが、「統一プラットフォーム」を軸にしたDX戦略だ。どんな施策を打っているのか、けん引役のBリーグ執行役員 田茂井憲氏に話を聞いた。

スマホ時代のプロスポーツリーグ

──田茂井さんはもともとシステムエンジニアをなさっていたそうですね。

田茂井憲氏(以下敬称略) はい、約10年間システムエンジニアとして、主に金融業界、特にクレジットカードや決済代行会社で勤務していました。Bリーグには2017年12月に入社しました。当時Bリーグはシステムトラブルが発生していた時期で、クレジットカードやインフラ系システムに精通した人材を求めていたのですが、草バスケットボールのチームメイトにBリーグの方がいて声を掛けていただきました。

 現在はBリーグのシステム部門を統括し、ファンの方々に利用していただくチケットやIDシステム、またクラブとのコミュニケーションを図る業務DXも担当しています。

──Bリーグは設立当初からデジタル活用に積極的だったと聞きますが、そうした方針はどのように生まれたのでしょうか。

田茂井  Bリーグは創設時から「スマホファースト」というキーワードを掲げていました。2016年の設立時、各クラブが個別にシステム投資をするよりも、リーグ全体で統一したプラットフォームを構築する方が効率的だと判断しました。これによりファンは1つのIDで複数チームのサービスを利用できるメリットも生まれました。

──プロスポーツリーグがプラットフォームを統一するという発想は一般的なものだったのでしょうか。

田茂井 これは設立時期の時代背景に大きく左右されます。例えばJリーグが1993年に発足した当時はインターネットが普及しておらず、チケット購入も電話が主流でしたが、その後インターネットが普及する中で、Jリーグは各チームが独自に構築したシステムを後から統合する形を取りました。

 一方、Bリーグはスマートフォンが普及した時代に設立されたため、最初からデジタル環境を前提とした設計が可能でした。時代背景に即した最適な方法を選択できたことが大きな利点でした。