合板に穴を開け「貫」構造の摩訶不思議

 何分、大屋根リングについては公開されている情報が少ないので、限られた情報を補って考察していることを、最初にお断りしておきます。

 現実に建てられている「大屋根リング」実物を写した写真、例えばこのリンクなど見て見ると、使用されている材木に平行の筋が見えます。

 筋だけでなく節の模様も見えますから、これは「柾目板」でもなければ「板目」の板でもない。

 単板積層素材で、おそらくLVL(Laminated Veneer Lumber)と呼ばれる、薄くスライスした辺材(白太)の板を繊維方向に揃えて接着剤で固めたものを使用していると思われます。

 短期間でこれだけの量、しかも長尺の直通材を(しかも国内で手配して)揃えることを考えると、何らかの工業的な合板を使わなければ不可能ですから、大きく外れてはいないと思います。

 さて、この「糊で張り付けた合板」、構造材として様々な利点があるのは周知のとおりで、それに文句をつけるつもりはありません。

 ただ、一般には木造住宅の骨格を支え、表に出てきませんから、2つの観点で「大丈夫だろうか?」と思いました。

 第1は「貫」工法。

 日本の伝統建築は「合板」「積層材」などの使用を、およそ前提としていません。

 しかも縦軸は地下60メートルの杭で固定されているとすると、あらぬ方向から捻じれ応力などがかかった日には、ねじ切れしたりしないか、あくまで物理の観点からですが、破壊力学的に案じられる気がしました。

 なぜと言って、せっかく合板に強さを与えている積層の真ん中を刳り貫(くりぬ)いて「貫」を作ってしまっているから、製品の定格通りの強度が、各種応力に対して保証されていない可能性が考えられる。

 普通の木造住宅建設などでは、積層材の真ん中を刳り貫いてわざわざ強度を弱くして使用するなど、まず考えられませんから。

 もう一つ思ったのは「LVL合板」などの接着剤です。