前回、前々回と私自身の研究室が所在するビルに即して、隈研吾氏の疑似「木造建築」の特徴と寿命を考えました。 そこでの小結論として、我が国数千年の歴史を振り返っても、「天地根元造」や伊勢神宮の顰(ひそみ)に倣っても、あの種の「木造風」構築物の寿命は、まあもって20年程度。「遷宮」の伝統に従って建て替えるのが妥当という常識的なラインを、傍証、根拠などとともに示しました。 例えば、編集部が準備してくれた冒頭の写真、奈良の興福寺、南円堂の現在の建物は、フランス革命と同じ1789(寛政元)年の建て替えで、既に236年経過、重要文化財で、法定年限で取り壊しといった代物ではありません。 以下は本連載長年の愛読