米紙「ウクライナを失う責任を回避できない」
米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、マックス・ブート氏は2月23日付コラムで「米国の支援打ち切りがもたらす結果はあまりにも破壊的だ。はるかに多くの命が失われる結果となり、ウクライナが戦争に敗れることも十分にあり得る」と警鐘を鳴らしていた。
「ウクライナにとって人道的悲劇、米国と欧州にとっては地政学的な悲劇、トランプ氏には大きな政治問題となる。ウクライナをロシアの慈悲に委ねるような和平協定をゼレンスキー氏に強要しようものなら、ウクライナを失うことへの責任を回避することはできない」(ブート氏)
CSISのカンシアン氏は「欧州やその他の供給源、ウクライナ国内産業から供給される装備によってウクライナ軍は戦線を維持できるが、能力は低下する。いずれウクライナ軍の戦線は崩壊するだろう。ウクライナは不利な、あるいは過酷な和平を受け入れざるを得なくなる」という。

ウクライナ軍はドローン運用にイーロン・マスク氏のスターリンクを利用している。米情報機関はリアルタイムでロシア軍の位置情報を提供している。これらの協力が打ち切られたらウクライナ軍は対抗手段を失う。数週間でウクライナは壊滅するという悲観的な見方すら出ている。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。