世紀の決裂となったトランプ大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談(写真:UPI/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

トランプ政権「平和という目標に専念してもらう必要がある」

[ロンドン発]米ホワイトハウスでの首脳会談で「平和の準備ができたら戻って来い」とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とケンカ別れしたドナルド・トランプ米大統領は、ゼレンスキー氏を屈服させるため、軍事を含めたすべてのウクライナ支援を一時停止した。

 ゼレンスキー氏はあわててSNSに「戦争を終わらせるために迅速に動く準備ができている。第一段階として捕虜の解放、ロシアが同じことをするならば即時の海上での休戦、ミサイル、長距離ドローン(無人航空機)、エネルギーやその他の民間インフラへの爆撃の禁止など空での休戦が考えられる。それから米国と協力して強力な最終合意に達したい」と投稿した。

 米Fox News(3月3日)によると、ホワイトハウス高官は「トランプ大統領は平和に焦点を当てている。われわれのパートナーにも同じ目標に専念してもらう必要がある。支援が問題の解決に役立っているか確かめるためウクライナ支援を一時停止して見直している」と話している。

 トランプ政権高官もゼレンスキー氏が和平交渉へのコミットメントを示すまで軍事支援を保留していると述べた。しかし「恒久的な支援打ち切りではなく、一時停止だ」と強調した。和平を巡る米国とウクライナの立場の違いが原因だ。

 トランプ氏がウクライナと欧州の頭越しにウラジーミル・プーチン露大統領と和平交渉を始めたのに対し、ゼレンスキー氏は5000億ドル分の鉱物資源を取引材料にトランプ氏にウクライナの安全保障を保証することを求めた。しかし受け入れられず、取引に署名しなかった。