ホワイトハウスでの会談が口論となったウクライナのゼレンスキー大統領とアメリカのトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

逆ギレしてみせたバンス米副大統領

[ロンドン発]2月28日、米ホワイトハウスで行われたドナルド・トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の首脳会談はTVのリアリティ番組を見るような激しい言い争いに発展し、ウクライナ和平交渉は物別れに終わった。

 首脳会談でゼレンスキー氏はウラジーミル・プーチン露大統領が25回も署名した合意を破棄したことを強調し、ウクライナは十分な安全保障の保証なしに停戦合意を受け入れないと断言した。ロシアに連れ去られたウクライナの子ども2万人を連れ戻したいと悔しさをにじませた。

 同席したJ.D.バンス米副大統領が「米国を良い国にしているのは外交に関与しているからだ。それがトランプ大統領のやっていることだ」と口を挟んだことに対し、ゼレンスキー氏が「プーチンはウクライナ国民を殺している。君はどんな外交について話しているのか」と噛みついた。

トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談に割って入るアメリカのバンス副大統領(写真:UPI/アフロ)

 これにバンス氏は「あなたの国の破壊を終わらせるような外交について話しているのだ。わが国の大統領執務室に来て米国メディアの前でこれを訴えようとするのは失礼だ。あなた方は兵員不足のため徴集兵を前線に送らなければならない。大統領に感謝すべきだ」と逆ギレした。