米国のトランプ大統領との首脳会談が決裂したウクライナのゼレンスキー大統領に対し、支援を約束した英国のスターマー首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

欧州とカナダの緊急首脳会議

[ロンドン発]米ホワイトハウスでの首脳会談でドナルド・トランプ米大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がケンカ別れしたあと、キア・スターマー英首相はゼレンスキー氏を迎え、3月2日、ロンドンで欧州諸国とカナダによる緊急首脳会議を開いた。

 16カ国と欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)の首脳はウクライナ和平を保証する以下の4段階プランで合意した。

(1)戦争が継続している間はウクライナへの軍事支援を継続し、ロシアに対する経済的圧力を強める。
(2)恒久的な平和はウクライナの主権と安全を確保。ウクライナはあらゆる和平交渉のテーブルに着く。
(3)和平合意が成立した場合、欧州の指導者はロシアによる将来のウクライナ侵攻を阻止する。
(4)ウクライナを防衛し、平和を保証するための有志連合を結成する。英国とフランスを含め「多数」の同盟国が署名。

 地上部隊と航空部隊を派遣する用意があるというスターマー氏は「欧州は重い荷物を運ばなければならない」と強調した上で合意には米国の支持が必要と付け加えた。「持続可能な平和の必要性についてトランプ氏と同意見だ。今こそ共に実現しなければならない」と力を込めた。

3月2日、英国で欧州首脳会議に参加したゼレンスキー大統領(写真:ロイター/アフロ)

 スターマー氏はウクライナが英・北アイルランドで製造される5000発以上の防空用軽量多目的ミサイルを調達できるよう英国輸出金融の16億ポンドを使うことを許可した。フランスは空や海、インフラの一時休戦を提案しているが、英国は慎重だ。