大統領はプロデューサー兼主演男優
フリードマン氏は第2次トランプ政権をTVドラマシリーズに例えている。大統領はプロデューサー兼主演男優で、筋書き、脚本、キャストに全責任を負う。和平が上手く行けばノーベル平和賞、そうでなければひっそり打ち切られる。トランプ氏の人生はすべてが「取引」だ。
「譲歩を引き出すためプーチンを喜ばせたり、ゼレンスキー氏を威圧したりして台本にドラマ性を与える。しかし実際の交渉は重大な利害、具体的な約束、不確実なリスクを伴うことが多く、複雑で時間がかかる。TVドラマのフォーマットには適さない」(フリードマン氏)
ロシアの全面侵攻から3年を迎える際、トランプ政権の言動から米国が侵略の犠牲となったウクライナに背を向け、75年間続いたNATOを壊してしまう懸念をフリードマン氏は抱いた。実際、米国は国連の総会や安全保障理事会でロシアやベラルーシ、北朝鮮の側についた。
国家戦略より忠誠心を優先した人事が行われ、外交・安全保障の一貫性が崩壊した。トランプ外交は即興的で、本当に和平を目指す意志があるのか疑わしい。米国は「強く寛容で判断力のある国」ではなくなり、欧州は独自に安全保障を強化する必要があるとフリードマン氏は説く。