「手取りを増やす」キャッチコピーが参院選まで使える国民民主

 自民党内でも高市早苗氏は、自公国3党協議には落胆し怒っている。宮沢洋一氏や税調インナーの考えは党内多数派の意見ではないとし、そもそも平場の党内議論を経ていないと言う。対立の火種は残る。「財務省解体」を掲げるデモまで始まった。

 基礎控除の大幅引き上げ、ガソリン税暫定税率の廃止は再度先送りされた。国民民主党にとっては参議院選挙でも「手取りを増やす」というキャッチコピーが使えるようになる。各社世調でも国民は自民に次ぐ支持率第2位につけている。「何だ神田の大明神」

 予算案に反対はするが年度内成立を図りたい立憲民主党は、高額療養費の限度額引き上げの一部凍結を勝ち取ったこともあって、自公維新の決着に安堵したのではないか。財政規律派の野田代表に対しては、過去2回所属政党を分裂させた江田憲司氏らが反発している。

「べらぼう」には両義的な意味もあり、「とてつもない」という意味で使われることもある。その「べらぼう」の両義性を体現しているのがトランプ大統領。SNSを駆使して内政・外交ともに矢継ぎ早の情報洪水を起こしている。毀誉褒貶は激しいが、並のドラマより遥かに劇場効果は高い。

 例えば、USAID(米国国際開発庁)の閉鎖などを通じて展開される情報戦である。イーロン・マスクのDOGE(政府効率化省)は連邦政府機関すべての監査をやると言っている。不法移民の滞在先として用意されるNYの高級ホテル代や、社会保障の幽霊不正需給など、トランプ政権が仕掛ける情報戦はまだその一部が出てきたに過ぎない。

保守政治行動会議に登場したイーロン・マスク氏(左)。アルゼンチンのミレイ大統領(右)から渡されたチェーンソーを掲げ、「コストカット」をアピールした(写真:AP/アフロ)保守政治行動会議に登場したイーロン・マスク氏(左)。アルゼンチンのミレイ大統領(右)から渡されたチェーンソーを掲げ、「コストカット」をアピールした(写真:AP/アフロ)

 DOGEは無駄使いした連邦予算2兆ドル(約300兆円)削減を目標に掲げ、そのうち1兆ドルは削減できるとしている。その20%は納税者の各家庭に5000ドルの小切手で還元するという。「恐れ入谷の鬼子母神」