中国のオープンソースの歩みは2000年代初頭

 ベルリンに拠点を置くメルカトル中国研究所(MERICS)によると、中国のオープンソースの歩みは2000年代初頭に政府主導のICT(情報通信技術)政策として始まった。中国の指導者は米国企業のソフトウェアへの依存を軽減したいと考えていた。ドットコムブームの最中、中国科学院は政府出資のリナックスプロジェクトを開始した。

 マイクロソフト・ウィンドウズをオープンソースのオペレーティングシステムであるリナックスに置き換え、中国のソフトウェア産業の発展を促進することが目的だった。AIモデルもオープンソースにすれば国際的な開発者を引きつけ、少ないリソースでモデルを改良できる。

 米高性能チップの対中輸出規制は中国のAIの進歩を遅らせるのが狙いだったが、中国の開発者は限られた計算資源でAIのトレーニングを最適化する方法を見出した。オープンサイエンスにおける画期的な成果を共有することでハードウェアの制約を克服した格好だ。

 オープンソースのAIモデルを提供することで中国はグローバルな技術協力におけるリーダーとしての立場をアピールできる。習近平国家主席の一帯一路構想のようなプロジェクトを通じてグローバル・サウスへの影響力を拡大しようとする中国の思惑と一致する。