打ち砕かれた3つの神話

 米投資大手フィデリティ・インターナショナルの投資ディレクター、トム・スティーブンソン氏は英紙デイリー・テレグラフ(1月30日付)に寄稿し「エヌビディアの株価が1日で17%急落し、時価総額が6000億ドル以上も減少した」とDeepSeekの衝撃を強調している。

「米国の例外主義は近年『疑う余地のない』投資理論となっている。トランプ氏の勝利以来、その傾向はさらに強まった。しかしDeepSeekによってエヌビディアのチップが近い将来にわたって準独占的な地位を維持し続けるという考えがまず否定された」(スティーブンソン氏)

「次にAI分野で競争するには莫大な金額が必要、第三にLLMを所有する企業のみがAIのアプリを開発できるという3つの神話が同時に打ち砕かれた。DeepSeekが約束するAIの民主化は良いニュースだが、過度の集中が進む米国市場には悪いニュースとなる恐れがある」(同)

 グーグル元CEO(最高経営責任者)のエリック・シュミット氏らも米紙ワシントン・ポスト(1月28日付)に「中国のオープンソースAIがこの分野における米国の優位に終止符を打つのか。DeepSeekの出現により両国のパワーバランスが変化しつつあるように見える」と寄稿した。