「光の戦士として、正しい活動の一角を担う」ってどうゆうこと?
雨宮:神真都Qは各都道府県にデモ組織を作り、組織ごとにリーダーやサブリーダーの役割の人を置きました。「あなたが光の戦士として、正しい活動の一角を担う」といった理屈で、組織とのつながりを感じられるポストの数を増やすのです。
ここが重要です。ただの参加者であれば、傍観者の域を出ないのでコミットが弱いけれども、ある役割や立場を担えば、周りからもそういう扱いを受け、コロナ禍で希薄になった人間の絆を再度確認できる。
また、通常Qアノンというのは、Qという人物の放つ情報を人々が勝手に読み解くことで、自然と集団が形成されていくという構造ですが、神真都Qの場合は、会員制度を取っていて、入会するときには個人情報の提出が求められます。会費が設定されていた上、寄付金も集めていました。
そうして集まったカネは幹部へ行くわけです。言っている話は到底理解できないような内容なのですが、実際に大量の支持者を確保していて資金集めがうまい。当局に目を付けられるのは時間の問題だったと思います。
──本書では、政治政党「参政党」の人を集めるテクニックについても解説されています。
雨宮:参政党についてはさまざまなことが言われており、何を主張しているのか分かりづらいかもしれませんが、基本的には反グローバリズムを掲げている政党です。
前回の参院選で彼らが主張していたことは象徴的でした。保守も左派も関係なく、既存の政党を批判する論調でした。
一般的に、政治的な対立でよく使われるのは保守と革新、右派と左派といった左右の軸ですが、参政党の場合は別の対立軸を持ち出しています。それはこれまでの日本を作ってきた既成政党と、新しい日本を作る新興政党という対立軸です。
これは上下の軸、あるいは過去と未来の軸であり、ポピュリズムの典型的なパターンと言えます。そして、新しい政党である参政党が伸びれば、良い未来が待っているとされる。