トランプ氏もマスク氏もDEI否定派
多様性廃止の動きには、フェイスブックやインスタグラムなどを運営するメタ・プラットフォームズ(通称:メタ)も追随しました。リベラルな気風が強く、多様性にも理解が深いとされていた米テック大手の“転向”は、多くのユーザーを驚かせています。
米ニュースサイトのAxiosによると、メタの人事担当副社長は社員宛ての書簡で、採用時に多様性に配慮するのを中止するうえ、多様性の評価に基づいて取引先を決める従来の方針に終止符を打つと表明しました。さらに、DEIを目的とした組織を今後は社内に設置しない方針も示しています。
一方、やはりリベラルな社風とみなされてきたアップルも2月の株主総会を前に、保守派とみられる株主から「DEI推進は訴訟リスクをもたらす」として、多様性目標を廃止するよう株主提案を受けました。アップル側はこの株主提案を拒否する構えですが、トランプ支持層と重なる保守派は勢いを増しており、各企業に次々と圧力をかける構えを崩していません。
トランプ氏が正式に大統領に就任したことで、こうした傾向はさらに強まりそうです。
トランプ氏は大統領選の期間中、「自分が大統領になれば、DEIに関する連邦政府のプログラムはすべておしまいにする」と公言。就任後の演説でも早々に「われわれは肌の色に関係なく、実力主義の社会を築く。きょうから、性別は男性と女性の2つのみ。それが米国政府の公式な政策だ」と強調しました。トランプ氏の側近にもDEI否定派は多く、「政府効率化省」のトップに就く実業家イーロン・マスク氏も「DEIは逆人種差別の典型だ」との批判を続けています。
こうした流れは今後、世界にどう波及するのでしょうか。