ワシントン記念塔がそびえるワシントンD.C.の街並み

1月20日(米国時間)、ドナルド・トランプ氏が第47代アメリカ合衆国大統領に就任します。どのような政治を展開するのか、さまざまな報道や予想が出ていますが、2017年に就任した1期目にはどんな見方が出ていたのでしょうか。当時、JBpressでお伝えした記事の中から注目度が高かったものをもう一度お届けします。(初出:2017年1月25日)※内容は掲載当時のものです。

 トランプ大統領は就任演説で、「政治の権限を首都ワシントンから米国民に返す」と宣言した。

 日本では、反対勢力を無意味に挑発し、米国社会を分散するものとしてこの演説を批判する向きがある。だが、統計データを見れば、ワシントンが「税金に群がる貴族の街」と化しているのは事実である。トランプ大統領とその支持層は、王朝化したエスタブリッシュメントを打倒する叛乱勢力ということができる。

 ワシントンの状況を詳しく見てみよう。

特権階級の貴族たちの街と化したワシントンD.C.

 2013年11月の「ワシントン・ポスト」は最新の国勢調査をもとに、驚くべき事実を報じている。全米の上位5%の高所得かつ高学歴の人間たちの住む地域が首都ワシントンD.C.に集中しているというのである。こうした都市は、ワシントンD.C.以外でも、ニューヨーク、サンフランシスコ、ボストンがあるが、その規模・集中性ではワシントンが抜きんでている。

 実際、ワシントンのある地域の平均年収は10万2000ドル(1170万円)、6割が大卒以上である。具体的な職業を挙げると、政治家、公務員、医者、弁護士、シンクタンク研究者、ロビイスト、その他、政府関係の仕事で稼いでいる人間、そして、これらの人間のためのサービス業だ。