トランプ大統領の支持基盤である米共和党保守派はこうした状況について、「ワシントンD.C.が、税金を無駄遣いして私利私欲を貪る官僚と、彼らと結託して不当な利益を手にするマスメディア・有識者・ロビイスト・業者の巣窟」になっていると批判する。トランプ支持者たる保守層の多くは、ワシントンD.C.には増税の挙句の恣意的な配分とその結果による不当な富の蓄積がなされていると怒っているのだ。

 一方、ワシントンD.C.側のマスメディアや有識者は既得権益を守るべく、トランプの支持者たちを「レイシスト」「プアホワイト」と批判し、トランプ政権誕生をやっきになって回避しようとしたというわけだ。

シンクタンクとロビイストを“撃退”

 では、トランプ新大統領はワシントンの利権構造をどのように破壊していくのであろうか。

 既に明らかになっているのは、第1にシンクタンクの政権からの排除である。

 トランプ大統領の最側近であるバノンおよびクシュナー上級顧問は、「シンクタンクは(腐敗した)ワシントン文化の極み」と見なしている。これを証明するかのように、トランプ政権では、研究者や学者の入閣や政権移行チームへの参画がほとんどない。閣僚クラスでは、ピーター・ナバロ国家通商会議議長ぐらいだし、ヘリテージ財団だけが前所長を筆頭に政権移行チームに多数送り込んでいるが、他の共和党系シンクタンクはほとんど参画していない。そのヘリテージ財団とて、現状ではほとんど政権内には入っていない。

 第2は、ロビイストの排除である。

 2016年11月、ペンス副大統領は、政権移行チームからすべてのロビイストを排除することを命じており、実際に何人も脱落している。また、トランプ大統領は退任5年間は、閣僚のロビー活動を禁じた他、ロビイストの活動を規制すると繰り返し指摘している。

 おそらく、この種の施策が「ワシントンの税金に群がる利権」を破壊すべく次々行われていくことは間違いない。