足首を捻挫しそうな「花魁の歩き方」には鍛錬が必要だった
遊女の中でも最高位に位置する高級遊女のことを「花魁」(おいらん)と呼ぶ。花魁は、客からの指名を受けると、禿(かむろ:遊女になるべく修行する少女)や振袖新造(ふりそでしんぞう:客を取れるようになった新米遊女)を従えながら、引手茶屋まで客を迎えに行くことになる。
今回のドラマでは、花魁の花の井が客から指名を受けて、呼び出しに応じる場面が放送された。相手の所に行くまでの「花魁道中」で、長谷川平蔵は花の井を見初めることになる。
花魁道中では、花の井の特徴的な歩き方に、目がいった人も多かったことだろう。ドラマにあったように、花魁は5~6寸と約15~18cmもある黒塗り畳付きの高下駄を履いて、「外八文字(そとはちもんじ)」という歩き方で行進することになっていた。
「外八文字」とは、爪先を内側に向けたあとに、大きく外側に開いて、八の字を描くように歩くことをいう。ゆるやかに格調高く見せるために、そのような歩き方をしたようだ。足首への負担が大きそうな歩き方だが、転ぶことのないように遊女たちは振袖新造の頃から、花魁に指導を受けて稽古を重ねていたという。
ドラマでの花の井はそんな修行を積んできたがゆえに、あのようにエレガントに歩けたということになる。花の井は重三郎と幼なじみの関係にある。共に親に捨てられて、吉原で育った。今後、この2人のコンビがどんな活躍を見せるのだろうか。楽しみである。