「月も、地球の表面に向かって落ちてきている」の意味するところ

野村:重力がなければ、月はまっすぐ進んでいき、地球から離れていってしまいます。でも、実際はちょっと進んでは地球の重力に引っ張られて落ちる、また進んでは引っ張られて落ちるということを繰り返しているため、地球の周りを回り続けるわけです。

 つまり、月は猛スピードで地球の周りを公転しながら、地球の中心に向かって落ち続けている。

月の周回出所:『なぜ重力は存在するのか』(著・野村泰紀、マガジンハウス)

 これが「月も、地球の表面に向かって落ちてきている」の意味するところであり、「リンゴが木から地面に落ちるのも、月が地球の周りを回るのも、同じ万有引力が原因である」という発見です。リンゴが従っている方程式と月が従っている方程式は、実は全く同じものだったのです。

 17世紀半ばは、地上のものは地上のルールに、天にある天体は神様のルールに従っていると考えるのが一般的でした。そんな時代に、地球上の物体と天体を同じルールに当てはめて考えようとした点が、ニュートンの天才ぶりを物語っていると思います。

──アインシュタインの相対性理論には、一般相対性理論と特殊相対性理論があります。なぜ2種類の相対性理論が必要なのでしょうか。

野村:必要か必要でないかで言えば、必要ありません。一般相対性理論の中に、特殊相対性理論が入っていますので。

 2種類の相対性理論が存在する理由は、アインシュタインが一発で一般相対性理論にたどり着けなかったためです。