混乱の中、大統領と与党の支持率が急上昇中

 尹大統領の支持者が結集したことで、世論調査に「異変」が起きている。大統領の支持率と「国民の力」党の支持率が急騰しているのだ。定期的に大統領支持率を調査してきたギャラップとリアルメーターは、尹大統領弾劾以後、大統領支持率調査を中断しているのだが、他の世論調査では尹大統領の支持率が弾劾以前より10%以上も高くなっているのだ。

 特に、5日に発表された韓国世論評判研究所(KOPRA)が『アジア・トゥデイ』紙の依頼で実施した世論調査では、尹大統領の支持率が40%まで上がり、「国民の力」の支持率が「共に民主党」のそれを上回るという現象が起きた。朴槿恵大統領の弾劾当時に、朴大統領の支持率が4%まで下がったことを思えば、現在の尹大統領の支持率反騰は保守層の恐ろしいほどの巻き返しぶりがうかがえる。

 大統領の支持率が上がったことで、「国民の力」の議員らも現職大統領に対する逮捕令状発給の不当性についてより積極的にアピールするようになった。逮捕令状の執行を体で阻止しようという議員らも出てきた。

尹大統領の公邸の前で、大統領を拘束するためにやってくる公捜処の捜査員を待ち受ける「国民の力」の議員たち(写真:AP/アフロ)
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 前出の公捜処法によると、公捜処が捜査できる範囲は「高位公職者の職権乱用と不正疑惑」に限られる。そのため公捜処は、〈大統領の職権乱用疑惑の一環として内乱罪を捜査する〉という論理を展開している。ところが憲法には「現職大統領は権力乱用や不正疑惑では捜査を受けない」と明記されている。現職大統領を捜査できる容疑は、内乱と外患だけなのだ。