賑わいが減りつつある街の中で
新人候補は訴えた。「この町は急速に高齢化が進んでいます。従って働き手である現役世代減少によって税収が減少している」。その結果として福祉予算にしわ寄せがいくという。
確かに周りを見渡すと聴衆の中には胡麻塩頭が多い。はまさき氏の演説は新人にしては下手ではない。罵声もない。頑張れの声もない。裏金裏金と書いたポスターを掲げる人もいない。
ところで選挙といえば今の旬は兵庫県知事選だろう。やれ公職選挙法違反だの買収だの、おねだり・パワハラ疑惑など、投開票が終わっても騒動が沈静化する気配もない。
個人的に選挙違反で思い出すのは1970年代の「奄美大戦争」だ。徳之島出身の徳洲会病院の徳田虎雄氏vs自民党の保岡興治氏のガチンコ対決。島では買収は当たり前、スイカの皮をくり抜いて中に万札1枚、演説会に行くと抽選で車が当たる。さらには相手陣営の選挙事務所にハブを投げ込む、牛を突っ込ませるなど、島民全員が捕まりそうな選挙運動をやっていた。
そう言う私も学生時代、郷里の北九州で選挙運動員のアルバイトをし、顔利き有権者に日本酒の一級酒を車に積んでばら撒きまくった経験がある。
そんなことを考えながら、選挙演説を眺めていた。はまさき候補からもらったチラシをチラチラ見ていく。地域経済という項目の中に減少した個人店を増やしますと書いてある。
確かに昔はいろいろと楽しい店もあったが、今はチェーン店が軒を連ねている。唯一残っているのは味はいまいちだが大盛のピラフを出す某喫茶店ぐらいか。また、パリや北欧を理想とする市民中心の町づくりを目指すとも書いてあった。私の妻はパリという言葉を聞くと舞い上がる。
国立市民の景観や人権に対する意識は時には鼻につくほど高いと思うが、住み心地の良い町をつくるには大切なことなのかもしれない。そして、風は無風よりも吹いた方が住民の意識もさらに高まるというものだ。
さて、投票日の12月15日、市民はどういう選択をするのだろうか。