トランプ氏「米国の戦いではない」
孤立主義者のドナルド・トランプ米次期大統領はシリア紛争から手を引く意向を明らかにしており、自ら立ち上げたSNSのトゥルース・ソーシャルに「米国の戦いではない」と書き込んだ。シリア北東部に駐留する900人の米軍を撤退させることを優先する恐れがある。
しかしシリアの権力移行が失敗すれば新たな暴力が引き起こされ、再び大量の難民が発生する。中東の混迷が一段と増すのは必至。前出のヘイデマン氏は「米国は制裁を解除して何百万ものシリア人の苦しみを和らげ、アサドとその一味が略奪した資産の回収を手助けできる」と指摘する。
アサドの敗北はロシアとイランの戦略的敗北でもある。ロシアの限定的な空爆はHTSの進撃を止められず、ロシアの軍事顧問や軍事資産はクソの役にも立たなかった。中東におけるロシアの軍事的拠点であるシリアのヘミーム空軍基地とタルトゥース海軍基地が危機に瀕する。
ロシア軍はリビアにも基地があるが、シリアの基地が失われればアフリカへの兵站は苦しくなる。アフリカの安全保障に詳しいブルッキングス研究所のヴァンダ・フェルバブ=ブラウン氏は「モスクワはHTSに接触し、基地へのアクセスを維持するよう交渉している」と解説する。