ナチスは「大統領令」を繰り返して独裁を完成させた
1930年代のドイツで独裁体制を築き上げたナチス(ドイツ国家社会主義労働者党)は、当時世界で最も民主的・進歩的と言われたワイマール憲法下の議会制民主主義から誕生しました。
ワイマール憲法の第48条には「国家緊急権」の規定があり、ナチスのヒトラーはこれを利用して法律と同等の効力を持つ大統領令を連発。ナチスに反対する政党や団体を非合法として社会から排除し、短期間に独裁を完成させたのです。
戦後、多くの国はこうした歴史を教訓とし、緊急事態の発動に厳しい要件を課すようになりました。同時に政権・軍部が暴走しないよう、期間の延長や宣言の解除などには議会が関与できる仕組みを多くの国が設けています。
例えば、ギリシャでは、政府が宣言を議会に提案し、議会の総議員の5分の3が賛成した場合に緊急事態を宣言することができます。期間は最長15日間。延長するには総議員の過半数の賛成が必要です。
12月3日に「非常戒厳」を発した韓国では、発動に関しては、大統領が首相・関係各省の副署名を得ることを必要とする一方、総議員の過半数の要求によって議会が解除を求めた場合には大統領は宣言を解除しなければなりません。