韓国では「戒厳令」を憲法でどう規定している?
今回、非常戒厳を発した韓国は憲法に緊急事態条項を明記しています。どのように規定されているのでしょうか。条文を見てみましょう。
【第76条】
大統領は内憂・外患・天災·地変又は重大な財政·経済上の危機に際し、国家の安全保障又は公共の安寧秩序を維持するため緊急の措置が必要であり国会の集会を待つ余裕がないときに限り最小限の必要な財政・経済上の処分を行い、又はこれに関して法律の効力を有する命令を発することができる。
【第77条】
1.大統領は戦時・事変、又はこれに準ずる国家非常事態において兵力により軍事上の必要に応じ、又は公共の安寧秩序を維持する必要があるときには法律の定めるところにより戒厳を宣布することができる。
2.戒厳は非常戒厳と警備戒厳とする。
3.非常戒厳が宣布されたときには法律の定めるところにより令状制度、言論・出版・集会・結社の自由、政府や裁判所の権限に関し特別な措置をすることができる。
先に記したように、緊急事態宣言下で戒厳令が布告されると、国民の自由や議会活動は大きく制限されます。一時的に独裁状態をつくり出すと言ってもいいでしょう。したがって、運用を誤ると、国家と社会はとんでもない方向に進んでしまう恐れがあります。その端的な例がドイツのナチス政権です。