データセンター向け半導体の売上高
冒頭で、生成AIはAI半導体を搭載したサーバー上で動作すると述べた。実際は、このAIサーバーを数万台以上並べたデータセンターで、生成AIが運用されている。
そこで、データセンター向けの企業別の半導体出荷額を調べてみた(図4)。すると、2021年から2022年にかけては、その出荷額でインテルがトップだった。その頃、インテルは、パソコン用プロセッサでAMDに激しく追い上げられていて苦戦していたが、サーバー用プロセッサではAMDの追随を許さなかった。
ところが、2022年11月30日にChatGPTが公開されて以降、インテルの優位性が失われていった。2023年Q1には、早くもエヌビディアがインテルを追い抜いた。そして、その後は、エヌビディアは、インテルに圧倒的な大差をつけていくようになった。
一方、生成AIが登場するまで、まったくインテルに敵わなかったAMDは、AI半導体の開発に注力し、エヌビディアには歯が立たないけれど、売上高がジリ貧のインテルに接近し、2024年Q3にはとうとうインテルを(僅差ではあるが)追い抜いてしまった。
このようなエヌビディアの大躍進およびAMDの健闘の背景には、TSMCの存在がある。エヌビディアもAMDも設計を専門とするファブレスであり、そのAI半導体の製造は、ファウンドリーのTSMCに委託している。TSMCは、先端プロセスでエヌビディアやAMDのAI半導体を製造し、その躍進を支えている。
一方、インテルは、最先端露光装置EUVを使いこなすことができず、最先端プロセスでAI半導体を製造することが困難になっている。そして、これがインテルの不調の原因に直結している。さらに、2021年にインテルの第8代目のCEOに就任したパット・ゲルシンガー氏が、12月1日、この不調の責任を取って退任してしまった(日本経済新聞、12月2日)。
このように、AI半導体の製造において、ファウンドリーのTSMCが大きな役割を果たしている。以下では、その詳細について見てみよう。