K-POPの今後は

 MAMAは今回で25周年だという。この四半世紀は、K-POPが生まれ、日本では爆発的な人気を博し、世界にも広まった歴史と重なる。

2024 MAMAの会場の様子 (c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

 K-POPは、その勢力範囲をどんどん広げている。韓国の国内だけではなく、日本や中国、そして東南アジアからもスターを発掘し、グローバルなグループは全く珍しくなくなった。曲の作り手もかなりグローバル化している。

 その過程で、東アジアから東南アジアを中心として熱狂的な人気を獲得するようになった。MAMAでも、韓国語だけではなく、日本語や英語、中国語でのスピーチが印象的だった。

 この趨勢は大きくは変わらないだろう。人気は持続するだろうし、拡大していく可能性もあると思う。

 だが、リスクが存在することも事実である。NewJeans(ニュージーンズ)のお家騒動が最も象徴的だが、独特の練習生制度や、芸能事務所が抱える問題がある。

 デビューまで長く訓練を施し、さらにデビューできるかどうかも分からないという練習生制度のもとでは、アーティストに対して芸能事務所の持つ力がどうしても大きくなる。

 芸能事務所のHYBE(ハイブ)は傘下に多くの音楽レーベルを従え、巨大企業化しているが、NewJeansの所属したADOR(アドア)との問題が象徴的なように、コンプライアンス(法令遵守)の問題が浮き彫りになってしまった。

 芸能事務所は営利企業なので、K-POPアイドルという「人的資本」から得られる利益を最大化しようとする。そのため、事務所自体が人権侵害を行う主体となることもあり得る。

 K-POPはファンが多い分、アンチも発生しやすく、インターネット上では誹謗中傷が日夜飛び交っている。アイドルの人権を保護しながら、グローバルな活動を行うのは一筋縄ではいかないのだ。

 MAMAの「今年のベスト曲」には、aespaの「Supernova」が選ばれた。「今年のアーティスト」にはSEVENTEENが選出された。誰もが納得のいく受賞だった。それくらい両グループの活躍は凄かった。SEVENTEENのメンバー、ホシの受賞スピーチは感動的だった。

 K-POP界は、今後も明るい未来を描いてくれるのだろうか。それはまだ分からない。だが、音楽の力を信じ、音楽に救われる人がいる限り、その歩みは止まらないだろう。

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