在日コリアン3世の韓光勲(はん・かんふん)氏が30歳にして韓国に初留学。大阪で生まれ育ち、新聞記者として活躍した韓氏が、“異国”での体験と発見を綴る。(JBpress)
(韓光勲:在日コリアン3世ライター)
日韓のポップカルチャーの力関係が急速に変わり始めている。YouTubeにアップされた動画を見てそう確信した。YOASOBIの「M COUNTDOWN」への出演である。
2023年9月21日、日本の大人気バンド、YOASOBIが韓国のMnetで放送される番組「M COUNTDOWN」(通称エムカ)に出演した。僕が驚いたのは、日本語でヒット曲「アイドル」を披露したことである。管見の限り、韓国の音楽番組において、日本のアーティストが日本語で曲を披露するのは記憶がない。初めての試みではないか。これは日韓関係史に刻まれるべき事件だと思う。
逆のパターン、つまり韓国のアーティストが韓国語で、日本の音楽番組に出るのはもはや違和感がない視聴者も多いだろう。たしかに、BOAやBIGBANGは日本語の曲を作って披露していたし、近年ではBTSですら日本語曲を作っていた。だが、近年は韓国語で曲を披露するグループも多い。
例えば、韓国のガールズグループ、NewJeansは今年、日本の夏フェスでのパフォーマンスが話題を呼んでいるが、すべて韓国語の曲だった。それに目くじらを立てる人はいない。それほどまでに、日本では韓国語の曲がポピュラーになり、定着している。