「SNSが決め手」はあくまでイメージ
すでにネットメディア、マスメディアに、そして多くの解釈や論評、「反省」が飛び交っている。
しかしそもそもの話だが、選挙の勝因、敗因に関して、根拠がある「勝因」というのはそれほど明らかではないし、簡単ではない。大手メディアや識者も、ともすれば「SNSや動画が勝因」などといっている(少し誠実である場合などには「?」などを書き足してみていたりする)。
だが、大差がつくような場合はさておくとして、多くの場合、勝因を、特に単一の要因で説明することはかなり難しいと考えられている。
速報的な記事や論評で取り上げられているのは、あくまで「目立った特徴」に過ぎない。「目立った特徴」が単一の理由なのか、複合要因の可能性はないのか、普遍性の有無などということはほとんど顧みられないままに論じられている。
多くの人、そしてメディアは「SNS、動画が勝因」と目している。少なくとも、そのように認識させたい見出しのニュースや速報的論評は枚挙にいとまがない。
◎兵庫県知事選 出直し選挙で斎藤氏が再選 “SNSが原動力に” | NHK
◎兵庫県知事選、SNSが決め手に? 「偏っている」「デマにだまされた」…“不信”テレビのあり方 『news zero』の課題と悩み|日テレNEWS NNN
◎兵庫県知事選のSNS影響に与野党が危機感「党全体でネット対策を」「既得権益への嫌悪」|産経ニュース
しかし冷静に考えてみてほしいのだが、最近の選挙において、SNSや動画は上手下手はあれどもほとんどの主力候補が使っている。
「SNSが決め手」などと気軽に口にするが、いったい何が決定打になったのか明記し、実証している記事はほとんどない。
SNSにも種類、テキスト/動画、フォロワー数、投稿量や動画であれば尺の長さ、発信の戦略や戦術など多様な側面がある。そして、それらの要素(変数)が、例えば認知の拡大や得票数、態度変容者の数など、選挙のいったいどの要素(変数)、あるいはライバル陣営との決定的な差別化に影響したのだろうか。
そのような丁寧な検討は大手メディアからインフルエンサー、オピニオンリーダーまでほとんどなされておらず、たいてい印象やイメージに引きずられているのである。
なぜなのか。