(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)
なんとも後味が悪いのは……
名将野村克也監督によって広く知られるようになった「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは、かつての平戸藩主松浦静山の言葉だが、兵庫県知事選挙の結果には多くの人たちが得も言われぬ、なんとも言えず後味の悪い感想を持っているようだ。
当然のことであろう。ただでさえ地方議会の不信任決議は、衆議院51人以上で提起でき出席議員の過半数で成立する内閣不信任決議と比べても、議員の3分の2以上の出席が求められ4分の3以上の賛成で成立するという条件のため、よりハードルが高いものとなっている。
地方議会は国政と異なり、首長も議員も直接に有権者の投票で選ばれる二元代表であることがその背景にあると考えられる。
その不信任決議が全会一致で採択されたことを契機に議会の解散ではなく、失職を選んだ知事が再び選ばれたのだから困惑して当然だ(そもそも本人にとっての合理性以外の理由だとすれば、なぜ失職を選び、なぜ再挑戦したのだろうか……)。
◎【詳細】兵庫 斎藤知事への不信任決議案 全会一致で可決 | NHK