「スワップ契約はトロイの木馬」

 このスワップ契約が成立すれば、欧州にロシア産ガスが引き続き流れ込み、プーチンがウクライナ戦争を継続するための軍資金になる。ロシア産化石燃料はインドやサウジアラビアを経由して欧州に“迂回輸出”されている。

「スワップ契約はトロイの木馬」とウクライナ側は神経を尖らせる。

 同紙によると、アゼルバイジャンは議長国になってから1年間で80億ドル相当の化石燃料取引を成立させた。ロシア第2のガス会社ノバテク関係者はCOP29会場で「ロシアは世界最大の価格競争力のある天然ガスを持ち、グローバルサウスに提供する用意がある」とアピールした。

COP29のホスト国となったアゼルバイジャンのアリエフ大統領。同国は天然ガスの産出国でもある(写真:ロイター/アフロ)
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 ウクライナへの軍事支援を停止したスロバキアのロベルト・フィツォ首相に近いペテル・ペレグリニ同国大統領は11月11日、バクーでアゼルバイジャンのアリエフ大統領と会談し、経済、エネルギー安全保障、兵器産業の2国間協力について協議した。

 ペレグリニ大統領は新年もウクライナ経由のガスが供給されるかどうかについて「アゼルバイジャンはトルコ、ブルガリア経由でスロバキアに直接供給するガスを保証するだけでなく、ウクライナ経由のガス輸送を支援するという申し出も有効だと確約した」と喜んだ。

ロシア産天然ガスに大きく依存するスロバキアのペレグリニ大統領(写真:AP/アフロ)
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