「石油と天然ガスは神からの贈り物」

 アゼルバイジャンの国営エネルギー会社ソカールが露国営ガス会社ガスプロムに取って代わる。アゼルバイジャンはカスピ海に英国・北海の13倍とされる天然ガスを埋蔵する。バクーから車で約30分、「燃える山」として知られるヤナルダグでは天然ガスが自然発火する。

 文字通りの「火の国」アゼルバイジャンは予算の60%、輸出の90%を化石燃料に依存する。同国のイルハム・アリエフ大統領はCOP29の開幕演説で石油と天然ガスを「神からの贈り物」と称え、化石燃料産業を目の敵にする西側メディアと気候活動家に反駁した。

 アゼルバイジャンから欧州に大量のガスを送るにはパイプラインの容量が不足している。このためロシア産ガスが「アゼルバイジャン産」として引き続き欧州に送られる。その代わり同量のアゼルバイジャン産ガスが「ロシア産」としてスワップされる取引が持ち上がっている。

 ガスプロムの昨年12月期決算は前期1.2兆ルーブル(1兆8600億円)の黒字から6290億ルーブル(9730億円)の赤字に転落した。最終赤字を計上したのは1999年12月期以来24年ぶり。赤字額は過去最大だ。ウクライナ戦争の制裁で欧州がガスの脱ロシア化を進めたためだ。