発言の背景を掘り下げられない状況

 確認できた範囲では、スポーツニッポンが、「パリ五輪前の強化試合がスポンサーのために国内で試合をする必要があり、主力不在のオーストラリアや五輪出場権のない韓国との対戦を余儀なくされた。欧州入り後は世界的強豪のドイツ、セルビアと強化試合を積めただけに意図は理解できる」と解説。八村選手が批判の矛先を向けたコーチについては「具体名を挙げなかったが、女子の指導経験しかないまま就任したホーバス監督を指す可能性が高い」と指摘した。

八村選手の発言を報じた日刊スポーツ(左)とスポーツニッポン(右)(写真:筆者撮影)

 この記事は、14日19時33分にネット上に配信した内容とほぼ同じだが、ネット記事では、ホーバス監督に加え、プロ選手経験のないコーチ名を具体的に挙げて、このコーチのことも含む可能性を指摘していた。他方、新聞紙面の記事では、具体的な名前の言及部分は削られていた。新聞はネットに比べて紙幅が限られている、という理由だけだろうか。

 15日付の1面で報じた日刊スポーツの記事は、「八村協会批判」という大きな見出しに加え、「お金目的ある気がする」「ホーバス監督続投も『残念』」「男子を分かるプロに『なってほしかった』」などのコメントも見出しで派手に取り上げている。ただ、発言の背景を解説した記事はほとんどなく、おそらく読者も発言の背景にあった「具体的な根拠や情報がほしい」と消化不良に陥ったのではないだろうか。