AIで仕事がなくなる?(写真:ynr/Shutterstock.com)

今も昔も、仕事の未来に関する議論は尽きない。就活に臨む世代にとっては、これから数十年にわたって自身のキャリアをどう築くかが問題になる。キャリアの中盤や終盤にさしかかっている世代では、キャリアプランの再検討や、引退の日までの逃げ切りに関心を寄せる人もいるだろう。近年、AI(人工知能)、特に生成AIが台頭してきたこともあり、仕事の未来への注目度は一層高まっているように感じられる。仕事の未来と生成AIの関係をどのように捉えたらよいだろうか。

(今井 昭仁:パーソル総合研究所 研究員)

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 まず、仕事の未来から見てみよう。パーソル総合研究所と中央大学の共同研究「労働市場の未来推計2035」では、2035年時点の職業別の労働需給を推計している(図表1)。ここからわかるように、全ての職業で労働供給が労働需要を下回っている。つまり、労働力が足りない見込みだ。

【図表1】 2035年の職業別の労働需要、労働供給、労働力不足

出所:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2035」
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 最も労働力が不足する見込みなのは、「事務従事者」で、1日当たり365万時間にのぼる。働き手に換算すると、79万人に相当する。これに続くのが「専門的・技術的職業従事者」だ。他方、労働力不足が小さいと見込まれているのは、「農林漁業従事者」や「保安職業従事者」だ。

 多少の例外はあるものの、推計結果の特徴を大まかに表現するならば、労働力不足の見通しはホワイトカラーで大きく、ブルーカラーで小さいと言えるだろう。

 ただし、この結果の解釈には注意が必要だ。