選手たちが語った優勝へのストーリー

 1区の嘉数純平(3年)は前回6区(5位)で順位を落としている選手。「昨年の悔しさをぶつけることができました。ラスト勝負に勝ち切ることはできませんでしたが、トップと2秒差の2位ということでいい流れでつなげられたと思います」とライバルに挙げられていた青学大と駒大に先着する絶好のスタートを切った。

 2区の青木瑠郁(3年)は創価大・吉田響(4年)のハイペースについていけず、6位に転落。「トップと10秒以内で渡したいと思っていたんですけど、50秒以上も離されてしまい、後続の選手に苦労をかけてしまいました……」と悔しがった。それでも激動のスピード区間を区間7位で食い止めたのが後の逆転劇につながっていく。

 出雲駅伝で前半のエース区間を担った3区辻原輝(2年)は自信あふれる走りを見せる。「前回の箱根駅伝(4区)は『耐える役割』でしたけど、今回は前田さんから『攻めていけ』という指示をいただき、それが凄くうれしかったんです。順位を上げるために、絞り出すことができました」。辻原は早大、帝京大、東京国際大を抜き去り、3位に浮上した。

 4区の高山豪起(3年)は区間4位の走りで3位をキープ。「100点満点ではないですけど、自分の仕事は粘ってタスキをつなぐことだったので、その走りはできたんじゃないかなと思います」と調子が上がらないなかでも、キッチリと役割を果たした。

 そして前田監督が「ストロングポイント」と考えていた5区と6区で“反撃”が始まった。

 5区の野中恒亨(2年)は、「昨年(当日変更で)外された区間だったので、リベンジを果たそうという気持ちでした。『攻め駒として置いているから』と前田さんに言われていましたし、自分でも攻めることができたと思います」と区間賞の快走。城西大をかわして2位に上がっただけでなく、1分27秒あったトップ青学大の差を41秒まで短縮した。

全日本大学駅伝、5区を走る國學院大の野中恒亨 写真/SportsPressJP/アフロ

 さらに昨年は2区(11位)で本領を発揮できなかった「悔しさ」を持って臨んだという6区山本歩夢(4年)が続く。「野中と自分で前との差を縮めるのが役割だったので、平林と上原に楽をさせようと思って走りました。力不足で追いつくことはできませんでしたが、自分の仕事はできたかな」。レース序盤は右脇腹痛に悩まされるも、後半に入ると青学大との差を詰めていく。区間賞・区間新の走りで青学大の背中に4秒差まで急接近した。