内閣支持率低迷の石破首相に心強い過去事例
<自民党内で「石破おろし」は生じるか?>
衆院選敗北にもかかわらず、自民党内で非主流派による「石破おろし」の動きは活発化していない。非主流派の勢力が縮小したため、そして根本的には小選挙区制導入や官邸機能強化、派閥解消を通じて、選挙公認権やポスト配分、資金配分など総理・総裁の権限が強まっているためであろう。
今後、「石破おろし」の可能性があるとすれば、非主流派の反逆によってというよりも、主流派が見限ることによって生じよう。
自民党にとって、当面の最優先事項は、2024年度補正予算、2025年度当初予算、税制改正法案などを、野党の協力を得ながら成立させることだ。予算が成立すれば、次の焦点は夏の参院選へ移る。石破首相を選挙の「顔」として参院選を戦えるか、内閣支持率の動向などが注目される。
<小渕政権のような例外となるか?>
長期にデータを得られるNHK世論調査をみると、過去ほとんどの政権において、内閣支持率は発足直後に最も高くなり、徐々に下がりやすい。
石破政権の2024年10月の内閣支持率は44%にとどまり、発足時としては森政権の39%(2000年4月)に次ぐ低水準にとどまった。今後、さらに下がっていくようであれば、来年春以降に「石破おろし」が生じやすい。
無論、過去には例外もある。例えば、小渕政権の内閣支持率は、1998年7月の発足当初こそ低いスタートであったが、徐々に盛り返した。
当時、参院過半数割れの「ねじれ国会」での政権発足であったが、金融危機への対応で野党案を丸飲みしたほか、自由党や公明党と連立政権を組むことで参院過半数を確保するなど、他党との協調を通じて政権運営を安定させ、世論の支持を獲得した。
少数与党において、いかに野党の協力を仰ぎながら予算や各種法案を成立させることができるか、あるいは今回の衆院選の争点となった政治改革をどう進展させるか、石破首相の手腕が問われる。